クリスチャン・ディオール(以下ディオール)は1905年、実業家の息子としてフランス・ノルマンディーのグランビルに生まれる。
父親の希望に従い、外交官を志して政治学を学ぶも、その死後は画商に転向。
帽子のデザインのスケッチが好評を博したのを機に、服飾デザイナーを志望する。
ディオールのデビューは驚くほど遅い。
1938年にロベール・ピケのメゾンに入り指導を受け、41年にはリュシアン・ルロンの店に入店、ここでピエール・バルマンを知る。
第2次世界大戦で出征し、除隊後にはルロン店のモデリストを務めた。
1946年末、星占いの予言どおり「41歳で出会った運命の人」マルセル・ブサック(繊維業界で成功した大富豪で、コットン王とも呼ばれた)
の支援を受け、パリ・モンテーニュ街30番地にオートクチュールサロン「クリスチャン・ディオール」を開店する。
ここから、遅咲きを取り戻すようなディオールの破竹の勢いの成功ストーリーが始まる。
1947年のデビュー・コレクションは記念すべきものだった。
当時、モード界に多大な影響力をもっていた『ハーパース・バザー』の編集長カーメル・スノウが「モード界に革命が起こった」と評価した、
ディオールによる「ニュールック」が誕生。
20メートルもの生地をたっぷりと巻きつけたようなロングスカート(スカートが花のように広がったラインで、コロル《花冠》・
ラインと呼ばれた)や腰を絞った砂時計の優美な“エイト(8の字形)ライン”は、物資不足の折、機能優先の制服的な服に飽き飽きしていた戦後の女性たちに熱狂的に迎えられた。
このラインによって、世界中の女性のスカートが、従来の怒り肩のラインと短かいものから、なで肩と優美なロング・スカートへと変化を促すことに。
それまで限られた人のものだったオートクチュールに、一般の女性たちにも強い影響を与える新たな次元を築いたこの
ディオールのデビューコレクションはフランスのオートクチュール輸出総額の75%を占めるに至る。
その功績により、ディオールはモード界のオスカーと呼ばれる「二ーマンマーカス賞」を受賞する。
こうして、ディオールの名は世界に広まり、以後10年間、ディオールは世界のモードのトレンド・セッターとしての役割を果たすことになる。
シーズン毎に発表する創作シルエットを、チューリップ、H、A、Y、アローラインなどと名づけてファッション界をリードしつつ、
香水、毛皮、ファンデーション、ネクタイ、既製服「ミス・ディオール」などを含めた多彩な商品構成で、世界最大の衣裳店を築きあげた。
基本的にディオールは、ファンデーションを利用して、シルエットをはっきりと描きだす方法をとっていたが、一貫してなだらかな肩線を維持した。
47~57年まで、ほとんど毎シーズンのように新しいラインを打ち出し、この間スカート幅はしだいに狭く、丈もわずかに短くなっていったが、基本的なラインはニュー・ルックを継承。
このファンデーションは、ブラジャー、ウェスト・ニッパー、ガードルにも応用された。
ディオールのラインは、幾分レトロで女らしいドレスを得意としていたが、他方では、オリジナルな裁断線のスーツなどもある。
50年春のバーティカルラインはボリュームを上半身(袖や背中)にもたせ、スカートをバイアス裁ちのスリムなものにして、シルエットを変えた。
51年春にはオーバルラインを打ちだし、初めてウェストを解放した作品も展示。
52年春の「シニュアスライン」は全面的にウェストを解放したソフトでほっそりしたライン。
53年春の「チューリップ・ライン」は再びウェストを締め、ヘム・ラインを床上り37cmに上げる。
翌54年秋のHラインでは、初めてシンプルなストレートなラインを打ち出したが、これは、つづくAおよびYラインも含めてバレンシアガのルース・フィットやチュニックの影響がみられ、肩の丸みも少なくなっている。
しかし、56年春の「アローライン」でディオールらしさが復活。
とくに、19世紀のカラコを発展させ、ブラウスやドレスなどと組み合わせる着方は、1970年代のレイヤード・ルックに取り入れられている。
また、これに次いでマグネットライン、リバティラインを打ち出し、最後の作品である57年秋のスピンドルラインへと続く。
ディオールは、ドレスと共布の夜のパンプスを考案し、また、長い柄の雨傘は昼間のアクセサリーのなかで最も好んだものであった。
ディオールは、創作の面だけでなく、経営面でも画期的な手法を取り入れていった。
1948年、パルファン・クリスチャン・ディオール設立。
そして翌年の1949年クチュリエとして初めてのライセンス事業に乗り出す。
ブランド名の登録や特許料など、実業家ブサックから学んだ経営や財政管理の手腕を発揮した画期的な実業家への第一歩であった。
最初のライセンス製品はストッキングで、アメリカで生産。
1950年には、同じくアメリカでネクタイのライセンスをスタート。
さらに1953年、ロジェ・ビビエのデザインによる靴の製造会社クリスチャンディオール デルマンを設立。
続く1954年にはロンドン支社設立。
パリ本社は従業員1000人を超え、26のアトリエ、7つのビルを持つ。
ディオールは、この当時のフランスのオートクチュールの輸出総額の50%以上を占めていた。
1955年、有名な“Aライン”が発表された年、イヴ・サンローランがクリスチャン ディオール社に入社。
1957年にはクリスチャン・ディオール本人の写真が雑誌『タイム』の表紙を飾り、従業員は1300人にも達した。
だが、この黄金期の真っただ中、同年10月24日にディオールは心臓発作のため急逝する。
ディオールの死後、一番弟子であったイヴ・サンローランが主任デザイナーへ。
1958年にイヴ・サンローラン初のコレクション“トラペーズ(台形)ライン”を発表。
繊細で大胆な個性に賞賛が集まる。
しかし1960年にイヴ・サンローランがアルジェリア戦争の軍役に召集される。
そこでロンドン店のデザイナーを務めていたマルク・ボアンが後任デザイナーに就任。
以降、マルク・ボアンはロマンティックで上品な持ち味で、演劇、オペラ、バレエ、映画などのコスチュームも多く手がける。
また、ディオールの死後、ディオール社では60年代後半にプレタポルテに力を入れはじめ、
66年「ミス・ディオール」(担当者フイリップ・ギブルジェ)、および毛皮部門(担当者フレデリック・コステ)、次いで、「デイオール・ベビー」「デイオール・スポーツ」を次々に新設。75年にはクリヨン・ホテルの傍らに毛皮専門の高級ブティックを開設した。
1966年、クリスチャン ディオール初の男性用オードトワレ「オーソバージュ」を発表。
1968年、パルファン・クリスチャン・ディオール社がモエ ヘネシー社に買収される。
これによって「イドラ ディオール」などスキンケアやメイクアップ製品のラインアップ、ムッシュコレクション、プレタポルテの毛皮も展開され、ビジネス的な幅はさらに広がる。
しかし、78年に親会社のマルセル・ブサック・グループが倒産し、これにともない、
ディオールのメゾンも繊維企業ウィロ社の傘下となり、アガッシュ=ウィロ・グループに編入。
さらに、80年ブサックの死後、81年には社会党政権であったフランスの公的救済を求める事態にまで経営は悪化した。
3年後の1984年、ブサック・グループの買収に乗り込んだベルナール・アルノーは、85年に傘下のクリスチャン・ディオールの社長に就任。
そして1988年には、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンによりクリスチャン ディオール社が買収される。
これにより、ディオールは世界最大のラグジュアリー・ブランド・グループの一員となる。
1989年、イタリア人デザイナー、ジャン・フランコ・フェレが全レディス部門のディレクターに就任。
構築的で華麗なフェレの服はミラノコレクションですでに定評があったフェレの人気を背景に、ジュネーブ、ハワイ、ニューヨーク、ロサンゼルス、日本など世界主要都市に出店する。
フェレは、初めてのコレクションである89年秋冬のオートクチュール・コレクションにおいて、「ニュールック」をモチーフとしたデザインを発表し、デ・ドール賞を受賞。
1997年1月より、レディースの主任デザイナーにジョン・ガリアーノを抜擢。
任命された当時、ガリアーノは同じLVMHグループの「ジバンシィ」のデザイナーだった。
エレガントなディオールに「グランムール」という新たな魅力を開花させているジョン・ガリアーノの起用は、偶然にも「ニュールック」誕生から50年目にあたる年だった。
ディオールの死後30年が経過した1987年にパリ衣装芸術美術館で行なわれた回顧展以降も、山本耀司やマルティーヌ・シットボンをはじめとする現代のデザイナーたちの作品には、ディオールの影響が色濃く残されている。
¥19,404(税込)
CHRISTIAN DIOR(クリスチャン ディオール) ペンダント D22492 Necklace グレー
¥10,395(税込)
CHRISTIAN DIOR(クリスチャン ディオール) ペンダント D21020 Mini Necklace シルバー
¥20,790(税込)
CHRISTIAN DIOR(クリスチャン ディオール) アクセサリー D22639 ピンク
¥20,790(税込)
CHRISTIAN DIOR(クリスチャン ディオール) アクセサリー D22638 シルバー
¥15,939(税込)
CHRISTIAN DIOR(クリスチャン ディオール) アクセサリー D22635 シルバー
¥16,632(税込)
CHRISTIAN DIOR(クリスチャン ディオール) アクセサリー D22410 シルバー
¥20,790(税込)
CHRISTIAN DIOR(クリスチャン ディオール) アクセサリー D22036 シルバー
¥18,144(税込)
CHRISTIAN DIOR(クリスチャン ディオール) カードケース DLOC2730 ブラック
¥17,388(税込)
CHRISTIAN DIOR(クリスチャン ディオール) カードケース DLOC2330 ブラック
PR